■ 駐車場から見たデビルズタワー
今朝も雲一つない快晴だが、車にびっしりと露がついている。夜間気温が下がることで、大気中の水分を除去してくれるのはありがたい。
モーテル備え付けのパン、コーヒーフレークとコーヒーの朝食を摂って気分よく出かける。I-90を昨日と逆に東へ走り、北東ゲートから再びバッドランズに入る。ゲートのすぐ南側にビッグバッドランズ展望台があり、そこからは、縞模様の入った無数の灰色の岩山が連なりながら東に向かって少しずつ高さを減じ、大草原に没していく壮大な風景が楽しめる。光線状態があまりよくないが、順光になる午後まで待つ余裕もなく、一通り写真を撮って9時頃に出発。
それからビジターセンターに寄り、もう一度ループロードの変化に富んだドライブを楽しんだ後、バッドランズに別れを告げて西側の出口からウォールに戻ってくる。
さて、ここからいよいよ本格的な長距離ドライブとなる。I-90に入り、草原を突っ走っていると、やがて家が増えてきてラピッドシティ市街地に差し掛かる。ここからは車が急に増え、制限速度の75MPHで走ると頻繁に追い越しを掛けなければならず、面倒なので無難に70MPHで走行。
また、この付近から風景に変化が現れ、両側に森林が増えてくる。やがて州境を越えてワイオミング(Wyoming)州に入り、少し走ったサンダンス(Sundance)という田舎町で高速を降り、デビルズタワー(Devils Tower)への道を走る。低い山地の針葉樹林を走っていると、斜め前方遠くに特徴あるその姿が見え、期待で大いに盛り上がりながらゲートに到着して$10の入園料を払う。
ゲートを過ぎてもすぐにはタワーに接近できず、坂を登りながら東から西へ回りこんでやっと駐車場が現れる。駐車場にはたくさんの車やバイクが停まっていてかなりの賑わいだ。
時刻は14時、駐車場のある西側からは、柱状節理による等間隔の縦筋がちょうどいい光線状態で見える。先住民の伝説では切り株に熊が爪で引っかいた痕とのことだが、なるほどうまく言ったものだ。
車を降りて撮影してからタワーを一周するトレイルを歩く。天気は快晴なので、周囲の松林の緑と濃い青空のコントラストが素晴らしい。実に爽やかな気分で散策を続ける。タワーは方向によって微妙に形状が異なっているので、回るにつれて見え方が変わるのが面白い。また、トレイルは単にぐるっと回るのではなく、上ったり下りたり、タワーに近づいたり離れたりと変化を持たせている。タワーの直下に来る所では崩落してきたと思われる岩がゴロゴロしていて、ちょっとスリルがある。
一時間ほどで元の駐車場に戻ってきた後、先はまだまだ長いのでデビルズタワーを後にさらに西を目指す。
ガソリンが少なくなってきたので、I-90に合流するムアクロフト(Moorcroft)という小さい町で給油。しかしノズルを引いてもガソリンが出ず、困っていたら、キャンピングカーに給油していたおっさんが横についているレバーの場所を教えてくれた。ついでにここでピザを買って食べる。結構うまいが、パン系のファストフードばかりだとどうしても飽きてしまう。
再びI-90に入ると、バッドランズをもっとなだらかにしたような、浸食跡の目立つ荒野に風景が変わる。単調な景色の中を走っていると次第に眠くなってきたが、脚をつねるなどして眠気を散らす。I-25との分岐点で交通の要衝であるバッファロー(Buffalo)という街でインターステートを下り、そこからはUS16号線で山越えのルートをとる。
バッファロー市街を出るといきなり山道にさしかかり、ぐんぐん坂を登っていく。一体どこまで登り続けるのかと思うぐらいの連続勾配で、ガソリンの減りが早く、次第に気温も下がってくる。やがて駐車スペースが現れたので車を停めてみると、そこがサミット。看板によるとホワイトリバーパスという峠で、高度9666フィートとある。フィートだとピンとこないが、3000ｍ近いということで、そんな高所に来た嬉しさで少し休憩。
峠を出発したのは18:30を回った頃。今夜の宿は予約しているので寝る場所にはぐれる心配はないのだが、暗くなる前に着くのは絶望的だ。
今度は下り坂が続くわけだが、両側に密度の高い針葉樹林が広がり、その先には峡谷の崖に林と露岩が層状に何段も積み重なった面白い地形が見られる。また、日本の山道みたいに急なヘアピンカーブで一気に高度を下げるところもあって楽しい。
峡谷から抜け出してなだらかな盆地に入ると、風景も一転してささくれだったような灰色の地面がどこまでも続く。適度なアップダウンとカーブを繰り返し、交通量が少ない道は、昔PC-98でやった「ターボフリーウェイ」というゲームを思い出して懐かしさを感じる。
その先、ワーランド(Worland)で一旦北へ転じるところで日没となり、いよいよ夜間走行が始まる。車が少ないので制限速度の65MPHで順調に走り、再び西進して宿泊地のコディ(Cody)へのラストラン。暗くてどんな所を通っているのか全くわからない中、自車のヘッドライトと時折通る対向車のライト、そしてずっと前に見える先行車のテールライトで進む方向を把握して緊張しながらハンドルを握る。
途中、一旦通り過ぎたのになぜか引き返してきたイタチのような小動物を回避できずに轢いてしまうという後味悪い目にあったが、それ以上の事故は起こさず、何とか21時過ぎにコディの街にたどり着く。意外と大きな街で、レストランやマーケットも何軒かある。予約していたベストウェスタンはダウンタウンを通り過ぎた所にあり、チェックインして一安心。さすがに長距離を走って疲労が募り、少し頭が痛い。
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