７日目 2006.5.8（月）
一夜明け、ロサンゼルスへ向けて出発。目指すは日本総領事館。まず、国内線でロスに飛ぶのだが、IDを持っていないということで搭乗券に大きく「SSSS」と書かれ、不審人物とみなされて事情聴取されるは念入りに身体検査をされるは、全くの特別扱いだ。とは言え、乗せてもらえるだけで有難い。ロサンゼルスの空港に到着したときは少しほっとした。
何はともあれ、まずタクシーで総領事館に駆けつける。ダウンタウンの一角にある高層ビルの一フロアにあるのだが、ビルに入るのにもIDを示せと言われる。このあたりセキュリティーに厳しい国らしいが、持っていたらこんな所へそもそも来ていない。「パスポートを失くしたから再発給のため総領事館に来たんだ。」と言えば、仕方ないという感じで通してくれた。
そうして館内に入り、警察で発行された書類を示して帰国のための渡航書を依頼すると、帰国の便の予約が確定していないと発給できないので、先に航空会社の事務所などで予約を済ませてから来るように言われた。そんなことはガイドブックにも書いていなかったし、悪用を防ぐためにも元のパスポートがなくなった旨を早く届けたかったから真っ先にここへ来たのだが…。
ともあれ、規則とあらば従わざるを得ない。JALの事務所の住所を聞き出し、総領事館を後にした。
教えてもらった住所がどの辺にあるのかわからないが、どうせこの周辺にあるだろうと地下鉄駅の路線図でそれらしい駅名を探すがわからない。迷っていると一人が声をかけてきたので、メモを見せてここへ行きたい旨告げると、はるか南に離れた所の駅を示した。
それなら空港に行くほうが早い。地上に出てタクシーを捕まえ、また50数ドルはたいて空港に戻る。
幸いJALのカウンターに係員がいたので、これまでの経過を話す。その結果、明日の便なら無料で変更できると言われ、その手配を完了。一日で渡航書が発給されるかどうか問題だったが、JALの係員は「大丈夫なはずです」と言っていたのでその言葉を信じる。
これで第一関門クリア。ただ、どうしてもここで一泊する必要はある。結局去年のメキシコ旅行の帰途に利用したばかりの「Visitors' aid」の世話になり、ホテルを斡旋してもらう。まさか半年の間に二回も同じ街で予定外の滞在をする羽目になるとは、ロサンゼルスとは変な縁があるようだ。
次は業務時間内に総領事館で手続きをすればいい。時間に少し余裕がでてきたので、公共交通機関を使ってみることにする。
ただし、この空港は駅に直結していないので、ダウンタウンに出るにはバスと電車二本を乗り継ぐ必要がある。新交通システムみたいに軽快なグリーンライン、そして路面電車と地下鉄の中間のようなブルーラインと乗るが、特にブルーラインの沿線は雑然とした住宅街で、決して近づきたくないような雰囲気だ。幸い昼間の車内は危険を感じることなく、無事ダウンタウンに到着。
普段の短い旅行では考えもしないことだが、こういうトラブルがあるととにかく日本のものが恋しくなってくるらしい。リトル東京を少し散策し、紀伊国屋書店でロスのポケットガイドを買ったあと、日本語の看板があるラーメン屋で昼食をとる。しかしこのラーメンが麺は茹で過ぎ、ダシもラーメン離れしたおかしな味で無茶苦茶まずい。アメリカ人の好みに合わせるとラーメンもずいぶん変わってしまうらしい。
それから写真屋（この店の店主はメキシコ系だった）で写真を撮ってもらい、再度総領事館に入る。今回は申請手続も滞りなく完了し、窓口の中年女性は「これなら明日の業務開始時に出せます。」と言ってくれた。この職員は応対も親切丁寧で、本当に救われた気分がした。それにしても、今日が月曜で助かった。もしこれが土曜だったら、開館まで丸二日足止めを喰らって帰国が三日も遅れてしまうところだ。
これで第二関門突破、今日しなければならないことは終わったので、ついでにダウンタウンをちょっと観光。しかしこの街は観光的な見どころがほとんどなく、ダウンタウン唯一の観光資源と言ってもいいケーブルカーも工事のため運休中。建物の写真を撮るにも、今日は晴れているのか曇っているのかはっきりしない天気なので、撮影意欲が湧かずすぐに退散。また電車・バスを乗り継いで空港近くのホテルにチェックイン。予定通り渡航書ができてくれることを願いながらロスでの一日を終えた。
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