８日目 2006.5.9（火）
朝、9時の総領事館業務開始に合わせてホテルを出る。まだ大荷物は部屋に置いているため、軽装でバスと電車で都心へ向かっていると、何かここに住んで通勤しているような気にもなってくる。
三回目の総領事館にすっかり慣れた足取りで入っていくと、問題なく帰国のための渡航書が出来上がっていた。でき上がった書類は横長の紙をパスポートサイズに折りたたんで両面八ページに仕立てたもので、写真のページにはホログラムのコーティングがなされている。
これで帰れる！ひとまず安堵の息をつき、今度はタクシーでホテルに戻る。そしてチェックアウトしてから送迎車で空港へ向かう。このホテルのフロント係も車の運転手も、互いの会話はスペイン語だ。もちろん英語も話せるが、運転手が私に向かって「ハポン（ジャパンのスペイン語）・エアライン？」と訊いてきたのには笑った。思わず私も「シー」と答えてしまいそうになる。メトロの車内放送も完全二ヶ国語だし、ロスもヒスパニックがかなりの割合を占めていそうだ。
何事もなく帰国便の搭乗手続も済み、前回と同じタコス屋で朝食を食べたあと機上の人となる。退屈なフライトも、今回に限っては帰国できる安心感が勝って、苦にならない。
９日目 2006.5.10（水）
日付変更線を越えてトラブルなくに関空へ到着。入国審査の際、別室に連れていかれ事情聴取されたが、不法入国者と疑われているわけでもなく対応は丁寧で、失くしたパスポートの番号を言うと照合できたらしく、すぐスタンプを押してくれた。
ページ中央にドンと押された入国スタンプを見ていると、帰って来られた実感がふつふつとわいてきた。しかし今回はアメリカのように総領事館がたくさんある国で、しかも帰路の途中だったからよかったものの、もし日本大使館もないような辺鄙な小国で紛失していたら、一体帰国までにどれだけ日数と費用がかかっていたことか。ちょっとした油断も大変な事態につながりかねないと、思い知らされた旅行であった。
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