朝、ザーッという雨音で目を覚ます。何と、乾季真っ只中のこの時期に雨とは！それでもこの時点では、どうせスコールみたいな一過性の雨で、むしろ止んだ後大気の透明度が上がっていいなどと考えていた。
　ところが、一旦止んでほっとしたのも束の間、また降り出してくる。それからも断続的に止んで降ってを繰り返し、一向に天気が回復する兆しがない。そのせいでどこにも出られず、部屋でのんびり読書するといった長期滞在者みたいな行動をとる羽目になってしまう。

　それでも、せっかくノーンキャウまで来たのだから何も見ず帰るのはもったいないと思い、11時頃降雨が途切れがちになったすきに村の奥の方へ歩いていく。両側に民家が建っているが、ツーリストのもたらす金で豊かになったのか、ルアン・パバーン行きの車窓で見たような竹造りの高床式倉庫や、千木を載せた古い木造民家が見当たらない。やはり連泊でもして旅行会社催行のツアーに参加して、離れた村を見学に行かないと伝統的な暮らしは見られないのだろう。
　そのうち家並みが途切れた辺りでまた雨脚が強まってきたため、たまたま置いてあった人の背丈より高い巨大な編み籠の写真だけ撮って切り上げる。そして昼食を食べに出ることもできず、12時過ぎにチェックアウトし、迎えのトゥクトゥクを待つ。
　13時に迎えが来てバスターミナルに着き、ルアン・パバーンから来た車の折り返し便に乗ることになる。ただし今日は乗客が少なくバンは二台しかないうえ、ラオス人の方が多く、私が乗った車には外国人は他に若い夫婦一組だけだった。

　バンが動き出したのは13:45頃。普通同じ行程の往復と言えば、復路の方が勝手がわかっている分早く感じるのだが、雨でイライラしているせいか行きよりずっと長く感じられる。午後になってからは天気が更に悪化し、強弱を繰り返しながらずっと降り続けている。
　雨が止まないまま、暗くなりかけた17:45にルアン・パバーンに戻って来た。バンでの移動の際、大きい荷物は全て天井に括り付けて走るため、四時間降られっぱなしで雨除けのブルーシートも役立たず、私のリュックも完全にびしょ濡れ。中でビニール袋にくるんでいなかった一部の服が湿って、そのままでは着られなくなってしまった。不覚。

　気分は最悪で何もする気力がないけれど、今日は宿を決めておらず、泊まれるところを探さなければならない。旧市街にはゲストハウスが多そうなので、居合わせた白人ツーリストと二人でトゥクトゥクに相乗りで旧市街を目指す。中国の昆明から24時間かけて移動してきたという長期旅行者の彼の情報によると、今日から数日間だけ雨で、それまではずっと晴れだったしその後も晴れの予報らしい。
　雨季ならともかく乾季に、しかも日本の梅雨でもそうそうない一日中シトシト降り続く雨、異常気象に違いないが、よりによってそんな時に来てしまうとは。いつもながら天気運の悪さが本当に悔しくてたまらない。
　旧市街に着いても、雨の中を歩いて探し回るのも面倒なので、寄って来た客引きについていく。連れて来られなのはワット・シェントーンの裏手のゲストハウスで、観光には最適のロケーションだが、明日は早朝に出発しなければならないので無意味。建物は古い木造でかなりガタが来ているが、角部屋で12万キープは安く、湯も使えるので泊まることに決める。

　19時を回ったので夕食を摂りに出るが、このゲストハウス、安い食堂のあるエリアから相当離れているので面倒だ。一人で気軽に入れる店を探して歩いているうちにまた雨が降り出し、しかもすぐ相当な強さになる。慌ててゲストハウスに戻った時には頭がずぶ濡れ、部屋で拭いて雨が止むのを待ったが、今度の雨は全く収まらないうちに21時になってしまい、出かけるのを諦め日本から持参したカロリーメイトで済ます。結局今日は雨のせいでまともな物を何も食べることができず、土産物を買う機会も逃してしまった。

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