明け方、なぜか職場のロッカーで着替えている夢を見た。外国で仕事関連の夢を見るのは珍しい。
　目覚めると、カーテンの隙間から日光が差している。待ちに待った朝日、外を見ると一面の青空。ちょうどこの旅も折り返しで気分一新だ。
　

　バスターミナルから、定刻どおり10:00に発車。さすがにシェムリアップ行きは外国人客が多く、10人以上はいる。バスの行先表示も、カンボジア語のみのものが多い中、ローマ字も併記されている。
　出発後北へ向かって走り、一時間少しでトンレサップ川を高い橋で渡る。まだ長距離を移動する人は少ないのか、渋滞のひどい市街を抜け出すと交通量は驚くほど少なくなる。バスは思ったより立派で冷房も効いているし、道路も舗装されているのでわりと快適な移動である。
　12:20頃、コンポンチャム方面への分岐を過ぎてからは西よりに向きを変え、途中、コンポントゥムというわりと大きな町に着いたのが13:20。途中の町でも若干の地元客が乗り降りする。
　天気はずっと快晴が続き、田んぼの緑が鮮やか。窓から見える民家はみんな高床式で、雨期には地面が水没するようだ。稲穂が風にそよぐ水田とココヤシに囲まれた高床式の小さな家は、実に風情がある。こうして観光地でも何でもないその地域の普通の景色を眺められることが、陸路移動の最大の醍醐味だと思う。気に入った場所で停まってくれるわけでもないので、そういった場面をなかなか写真に残すことができないのが惜しいところではあるが。
　

　16時頃にシェムリアップ(Siem Reap)に到着したが、バスターミナルは街外れのずいぶん不便な場所にあるため、中心街までトゥクトゥクのお世話になることに。シェムリアップでの宿は決めていなかったので、ついでに一泊20$ぐらいの所でオールドマーケットの近くのホテルへ案内してもらう。一軒目は工事の音がうるさそうだったのでパスし、二軒目のポンロエウ・アンコールというところに決める。
　チェックインは17時少し前、木材を多用した内装の、古い建物を改装して大事に使っている感じの良い宿だ。

　とりあえず一休みの後、オールドマーケット近くの本屋へ地図を買いに行く。来年のカレンダーも入手したかったが、大した写真でもないのに13$もしたのでやめた。それから一旦川を渡って、「ランドリー1kg1$」の看板を掲げた店へ汚れた服と下着を持っていく。外国人の多い観光地ゆえ多分こういう店もあるだろうと思っていたが、トゥクトゥクで来る途中で見つけたので探す手間が省け助かった。
　次にオールドマーケットに入ってみる。文字通りコロニアル様式の古い建物で、近隣の建物と合わせて風格ある街並みを形成している。内部はツーリスト用の服屋と地元民用の食料品屋にはっきりと分かれており、全く雰囲気が違う。
　この北側には食堂・バー・ゲストハウスが所狭しと密集し、そのうちあまり高級でなく、かつ客の入りがいい一軒の食堂を選んで夕食。野菜・豆腐・鶏肉の炒め物が3$と観光地価格で高めだがちょっと量も多め。肉は脂身が全くなくとても食べやすく、豆腐は厚揚げだが臭くならない程度に軽く発酵していて味付けもよい。とても日本人の口に合う。
　食後、スーパーを探して少し夜の街を歩く。内陸にあって北寄りの風が吹いているからか、全く暑くない。
　それにしても、ここのツーリストの多さには目を見張る。これほどツーリスティックな所は今まで見たことがない。今、アンコール遺跡は世界中で大人気なのか？近年めっきり少なくなった日本人も、2〜4人づらいのグループであちこちにたむろしている。しかも中高年の団体ではなく、若者がほとんど。一体何があるのか。とにかく、街が小さいので一ヶ所に集中して目立ちやすいことを割り引いても、ひょっとしたら首都プノンペンよりも外国人ツーリストの数が多いのではないかと思った。
　明日と明後日の二日間、夕方ホテルまで乗ったトゥクトゥクをチャーターして遺跡群を周る予定で、日の出鑑賞のため明朝5時に迎えに来ることになっている。早起きは大の苦手ゆえ、早々と22:30に就寝して備える。

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