ジャワ島中部、ジョグジャカルタ近郊には世界遺産に指定された第一級の遺跡が二つある。
　そのうち街の東にあるのがプランバナン遺跡群。8〜10世紀頃にかけて建てられたヒンドゥー教や仏教の寺院が点在しており、その中で最も大きいのがプランバナン寺院である。
　プランバナンの構造は典型的なヒンドゥー様式で、ビシュヌ堂、シバ堂、ブラフマ堂が並んで建っている。これら三基の堂は炎のような形状で高くそびえ立ち、中心となるシバ堂は高さ47mもある。そして向かい側にも三つの小さい堂があり、それぞれの神の乗り物が祭られている。
　この遺跡で何といっても見事なのは、堂の周りの回廊に彫られたヒンドゥーの大叙事詩「ラーマーヤナ」、「マハーバーラタ」をモチーフにした写実的なレリーフで、堂の外壁にも神像や神の使いと思われる鳥などを描いた浮き彫りがびっしりと施されている。
　時間に余裕のある人は、プランバナンの周りにもヒンドゥー教や仏教寺院の遺跡が散在しているので、足を伸ばしてみるのもいい。

　非常に残念なことに、2006年におきた大地震でこの遺跡は壊滅的な被害を受けてしまった。その後日本などの援助もあり少しずつ復興しているが、まだまだ道半ばと言われている。ここに掲載している写真は被災前のものなので、現状と違っている可能性がある。