今日はバスでの長時間移動。それに備えて、昨夜寝る前に徹底的に膝をマッサージしておいたおかげで、痛みはかなりましになった。7時に起床し、荷物をチェックしてから朝食へ。ところが、昨日一番おいしかった、塩味の効いた温かいスクランブルエッグがない。やむを得ず例のラグビーボールパンとハムで済ます。
　そして8時前にチェックアウト。今日も雲一つない青空の下、一歩ずつ名残を惜しむように脚を踏みしめ、途中何枚か写真を撮ってからバスターミナルへ。
　次のベロ・オリゾンチ行きは9時発、朝のうちは空いているようで、かなり空席がある。車内では窓越しに濃い青空を眺めてリラックス。途中イタビリトという町に停まった後、遠くまで見通せる斜面を大カーブを繰り返しながら上って山塊に取り付き、幹線道路に合流すると盆地の底にあるベロ・オリゾンチめがけてひたすら下っていく。スケールの大きな風景のおかげで二回目でも退屈しない路線である。

　二日前に来て勝手がわかるので、到着後すぐ出発棟へ移る。色とりどりの各社のロゴとブラジル各地の地名が記されたカウンターが並ぶ中、リオ・デ・ジャネイロの名前があるコメータ社のカウンターで切符を購入。次のリオ行きは12:30発、まだ一時間ちょっとあるが残り四席しかなく、危ないところだった。運賃は74レアル、手持ちの現金が減って来たのでカードで払いにする。
　とにかく、これで今日中にリオにたどり着ける目途が立ち、この旅行の行程が全てつながった。安心したら腹が減ってきたところ、ポル・キロの看板を見つけたので入る。野菜もあるのが助かるが、肉は普通の部位がなく関節のような部分ばかりで、試しに一切れ取ってみるがやはり口に合わない。パスタとライスはそこそこいけるが、オウロ・プレートの店に比べるとだいぶんレベルが落ちる。もっとも、ここに限らずブラジルの料理は全体的に、正直あまりうまくない。メキシコの料理はうまいのに、同じラテンアメリカでなぜこうも違うのか。　

　乗ったバスは普通のグレードであるコンベンシオナル。豪華なバスは主に夜行便に使われているようだ。それでも少しはリクライニングするし、シートピッチもそこまで狭くなく、眠らないならこれでよいか、というレベル。
　ブラジリアとは違ってかなり建て込んでごちゃごちゃした感じの市街地を抜けたら、いきなり大渋滞に捉まる。その先も、片側二車線あるものの、橋やトンネルを使わず地形の凹凸をそのままなぞる線形のうえ、大型トラックがやたら多いので上り坂でしばしば渋滞にはまる。こんな状態で本当にリオまで七時間で着けるのかと心配になってくる。しかも、町に入ると強制的に減速させるハンプが設置されているせいでその都度極端なノロノロ運転になって、イライラが募る。風景も林の混じる牧場地帯が延々と続く単調さで、すぐ飽きてくる。
　途中から西日が眩しくなってカーテンを閉め、ウトウトしていると結構大きな都市に入ったようなので、もうすぐリオ到着か、案外早かったなと喜んだが、まだそこは知らない街（後から地図を見てジュイス・デ・フォラという街だとわかった）、リオはまだ先であった。そこを過ぎると太陽が低く傾いていく中、それまでと打って変わって本格的な山越えに差し掛かり、日没を迎えて暗くなってからようやくリオ・デ・ジャネイロ（Rio de Janeiro）のバスターミナルに到着。渋滞も織り込み済みだったのか、着いたのはほぼ定刻通りであった。

　さすがにリオのような大都市で、夜間に大荷物を持って歩き回りたくないので、タクシーでホテルまで移動。セントロより少し南のグロリア地区まで20分もかからなかった。予約していたマジックパレスホテルはそれほど大きくなく、大通りから引っ込んだ場所にあるので大都市のホテルにしては静かである。日中ずっとバスに乗り放しだったせいで疲れたため、旅行記を書く余裕もなく早寝する。

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