２日目 2010.3.7（日）
灯りが点いて質素な朝食が出た後、着陸態勢に入って予定通り7:50にメルボルン空港に到着。しかし、窓の外では雨が降っている。しかもどうやらまとまった雨のようだ。天気が崩れる予報など当たらなくてもいいのに、当たってしまった。
入国審査はあっけないほどすぐ終わったが、やはり税関は厳しく、荷物を開けて調べられた。
レンタカーは9時に予約していたので、空港でちょっと休憩してから営業所に向かう。ターミナルの向かい側にレンタカー会社数社共同で広いスペースを設けているので使いやすい。
車は青色のヒュンダイ。最初はやっぱり緊張し、やや力みながらフリーウェイに乗り入れる。環状道路でメルボルン郊外を北から西へ回りこみ、幹線のM1号線へと入っていく。オーストラリアと言ってもアウトバックとは全く違い、交通量は多い。それでも片側四〜三車線あり、日本の高速よりはかなり余裕があるうえに、乱暴な運転をする車がおらず最高速度を守って秩序ある運転をしているので、ストレスがたまりにくい。
やがてビクトリア州第二の都市ジーロン(Geelong)に差し掛かる。ここで火曜日の夜行バスの予約をするため高速を降りて駅を目指す。
ジーロンのダウンタウンをぐるぐる回ってみるが、駅が一向に見つからない。仕方がなく車を停めて徒歩で探してみるが、駅のありかを示す標識が全くない。途方に暮れて歩いていると、通りかかったおっさんが話しかけてきたので、駅を探していると言うと車で近くまで乗せてくれた。
礼を言ってれんが造りの古い駅舎に入り、難なくミルドゥラ行きのバスの切符を入手。$37と、物価高のこの国にしてはかなり安くて驚きだ。それから元来た道を歩いて戻り、本屋でグレートオーシャンロードの地図を買って、11:30頃に出発。
さてグレートオーシャンロードへ、と喜び勇んだのもつかの間、うっかり東寄りの道を進んでしまい、フィリップ湾口の方に来てしまった。途中で気づいて西へ抜ける道へ入ったものの、ここでも一時間ぐらい無駄にしてしまった。
ようやく本来の道、B100号線に戻る。少し晴れ間も見えてきたので、淡い期待を持ちつつ先を急ぐ。途中とトーキー(Torquay)やアングルシー(Anglesea)と言った海沿いの町はいずれも三連休を楽しむ行楽客で混雑していて、路肩も駐車車輌で埋め尽くされ、海辺も公園も沿道の店も賑わいを見せている。
その先、エアリーズインレット(Aireys Inlet)という町を過ぎると、サザンオーシャンに沿って切り立った崖にへばりつくようにカーブが続く、グレートオーシャンロードらしい区間が始まる。カーブや道幅のわりに制限速度は高めで、結構運転には気を使い、特に対向車とすれ違う瞬間は緊張する。そのため運転していると風景を味わう余裕がない。
また、先ほどは少し青空が見えたのに、景勝区間に入るとまた一面の曇り空に戻ってしまい、海も灰色に沈み、おまけに湿度が高いせいか遠くが霞んでしまっている。
やがてグレートオーシャンロード東側の拠点ローン(Lorne)に到着、喉が渇いたので飲み物を買って一休み。この町も賑やかで、人も車も多い。
ここからの道は一層ワイルドさを増し、かなりの高さまで登って荒々しい海岸をかなり遠くまで見通せ、海と反対側は鬱蒼とした深い森が広がる。無粋な看板や捨てられたゴミがないのがいい。ただし、絶景ポイントでも駐車スペースがないため、車を停めて海を眺めることもできないのが惜しい。
また、ローンから先は交通量が格段に減る。多分、ローンまでがメルボルン市民の手軽な行楽圏なのだろう。
次に現れる町アポロベイ(Apollo Bay)を過ぎると、道路は海岸を離れ、山地へと入っていく。人気がない原生林の中をカーブを繰り返しながら登りつめ、サミットを越えて下りにさしかかった辺りで、マイツレスト(Maits
Rest)の標識を発見。
やはり機中泊の後の運転は体にこたえるようで、疲れとともに眠気が強まり、もう限界にきたためマイツレストの駐車場に停め、シートを倒して目をつぶる。ちょっとだけ眠ったみたいで、気がついたら眠気はかなり薄らいだ。まず居眠り運転の心配はなくなったが、気分転換にマイツレストの遊歩道を少し歩いてみる。
トレイルの木道や橋はよく整備され、気軽にオトウェイ山地の原生林に触れられるのがいい。驚いたのが林床一面に繁茂する木性シダで、3ｍほどもあるものがザラに見られる。我々の感覚では、木性シダは沖縄など熱帯か亜熱帯のものというイメージだが、ここでは冷温帯に見られるのが不思議だ。
マイツレストを後にしたのはもう16時過ぎ。今日の宿泊地ポートキャンベル(Port Campbell)まであと70km、予定通り18時には着けそうだ。ここから先は海岸に出ることはなく、牧場を見ながらゆるやかな丘陵を行く場面が増える。あいかわらず天気が悪く、疲れもあるので先を急ぎ、ようやくポートキャンベルの入口さしかかった時はさすがに安堵する。予約していたモーテルに入ったのは17:15、一泊$140というのは完全な観光地価格だが、部屋は広く、ソファーもあるし電子レンジも置かれている。
とりあえず大荷物を置いて町に出る。この町はグレートオーシャンロードの白眉を控えたリゾート地だが、ローンやアポロベイよりずっと小ぢんまりしているのが意外である。閉店間際のテイクアウトレストランでフィッシュ＆チップスを$9で買い、土産物屋兼スーパーで飲み物と絵葉書を買う。
部屋に戻って早速フィッシュ＆チップスを食べるが、これが無駄に量が多い。しかも魚フライは二切れしかなく、大きな箱にこれでもかと詰め込まれた中身ほとんどはフライドポテト。とても一回で食べきれる量ではない。
それから、食べ出した頃から急に雨脚が強くなってきた。フロントのオバサンは、三週間、いや四週間ぶりの雨だ、と言っていたが、自分の天気運の悪さにはほとほとあきれてしまう。
|
