■ ケアンズ・街に面した干潟
この便はブリズベン経由でケアンズへ行く。従って、わざわざケアンズより遠いブリズベンまで行ってから戻るわけで、面倒だし何より時間がもったいない。
ここで一旦全員降ろされ、再度手荷物検査を受けて機内に戻る。香港からの客の大部分は降りたようで、乗客がかなり入れ替わっている。今度はなぜか台湾人が多い。
ブリズベン出発は11:55で、ケアンズ(Cairns)到着は14:00。この短区間でも、機内食として鶏肉入り中華風焼きそばが出る。朝のパンがまずかっただけに一層おいしく感じる。
始めのうちは一面の曇り空だったが、北上するにつれて次第に晴れ間が出てきて、ケアンズでは快晴になった。真っ青な空にさんさんと陽光が降り注ぎ、気温は28℃で暑すぎず、湿気も少ない最高の天気だ。
ケアンズでの入国審査では、一人で来たのか、今日はどこに行くのか訊かれたが、特に問題なく終わった。前回この国に来た時、食べ物の持込みを特に厳しくチェックしていたことから、税関検査でのカロリーメイトが心配だったが、正直に見せたらＯＫだった。
その後、少し離れた国内線ターミナルに移動し、ダーウィン行きのチェックインを行う。それからまだまだ時間があるので、ここでじっと待っても芸がない。ケアンズ直行便だったら半日レンタカーを借りて近郊の観光地を回れたのだが、そんな時間はないので、適当に街を散策してみようと思ったが、市内へのバス乗り場が見当たらない。仕方なくタクシーを使う。
ケアンズのダウンタウンは、高い街路樹の並ぶ大通りに面してテラスのある二階建ての建物が並び、いかにも熱帯のリゾート地らしい開放感がある。中心部はモール（mall、この国では歩行者天国の意味）になっており、日本人に人気の街だけあって日本語の張り紙がある飲食店やツアー代理店が多く。一方で、通行人の中には観光客に混じってアボリジニもたくさんいたので少し驚く。
海沿いのエスプラネードはきれいに整備され、おあつらえ向きの散歩道になっている。遠浅の干潟では、カモメやシギのような嘴の長い鳥が泥をつつき回っている。ケアンズといえばグレートバリアリーフの玄関口として有名だが、街中の海岸はただの泥海なのが意外だ。もっとも、大陸の海岸というのはだいたいこんな感じなのだろうが。
海岸が泳げるような場所でないためか、エスプラネードの端に人工のラグーンが設けられ、水遊びができるようになっている。そこではたくさんの老若男女が水着で日向ぼっこをしていて、私も海パンを持って来ればよかったと少し後悔。こちらでは若い子もオバサンも平気でビキニ姿をさらしていて、日本のように変に恥ずかしがったり服のまま水に入ったりする女性がいないのが清々しい。
しばらく街歩きをして、そろそろ空港へ戻ろうと思い、ダウンタウンのバス停で路線図を見てもやはり空港行きのバスはない。より遠くの町へ行くバスはあるのに、わざと空港を無視しているような路線設定に腹が立つ。結局帰りもタクシーの世話になり、往復で$31も使う羽目になる。
空港に戻ったのは17時頃。小腹が空いてきたので空港で軽食でもと思いきや、数軒ある店はどこも満員で、結局食べそびれる。
ダーウィンへの飛行機は小型のB737-800で、八割以上席がふさがっている。なぜか小さい子を連れた団体が多く、他に日本人はいないようだ。
18:00、ちょうど日が沈む頃ケアンズを飛び立ち、水平飛行に入ると国内線なのに機内食が出る。スパゲティとラザニアの中間みたいなもの。ちょうど空腹だったので有難い。空港で食べられなかったのがかえって幸いした。時計を30分戻し、ダーウィン(Darwin)に着いたのは20:00。ちなみにこれからアデレードまでは、日本時間＋30分という時間帯になる。30分という半端な時刻合わせをするのは初めての経験だ。
この空港もかなり小さい。まだ20時を回ったところだが、すでに店は全て閉まっている。
空港を出たところでシャトルバスの切符を売っていたので購入。泊まるホテル名を言えばそこまで送ってくれるので、完全に旅行者用と言える。運賃は一人$10もするのでやけに高いなと思ったが、空港から市街は結構遠く、飛ばして13〜14分かかる。
私が予約しているアラタイ・アパートメントは一番手前にあるらしく、乗客の中で真っ先に降ろされる。
この宿はブロック造りの粗末な建物が「コ」の字型に並んでいて、「アパートメント」の名前どおり各室に流し台、電子レンジ、洗濯機と乾燥機も付いていて、数日じっくり滞在するのに向いた所のようだ。たった一泊だけで出て行くのはもったいない感じがする。
ここダーウィンは地図上では大陸の中で最も日本列島に近い場所の一つにもかかわらず、航空路の都合で大幅な遠回りとなるので、家を出てから30時間、やっと着いた。長い移動ですっかり疲れたので早速ひげを剃り、歯磨き、シャワーの三点セットを済ませ、日誌を書いて寝る。
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