１日目 2013.2.16（土）
昨年（2012年）12月、父親が亡くなった。それから親戚みんなに手伝ってもらって父親宅を片付け、年末年始も全く落ち着く暇がない日々が続いた。そして何とか四十九日の法要を済ませ、やっと心が休まることができたのである。
そのため、今年の旅行は必然的に満中陰を待って出かけることとなり、行先も西部劇が大好きだった父を偲んでアメリカ西部、特に、西部開拓時代を象徴する出来事である「OKコラルの決闘」が起こったアリゾナ州トゥームストーンを目的地の一つに選んだ。
今回も伊丹→羽田→成田という面倒な移動をさせられるアメリカ旅行のいつものパターン。12:10発のANAで伊丹を出発する。今日は天気がよく、左窓側の席からは雪をかぶった南アルプスや富士山がくっきりと見えている。特に上空から見る富士山は実に整った形をしていて、すぐに通り過ぎてしまうのがもったいなく感じるほどだ。関東人がこの山にやたら執着する気持ちがはじめて理解できた。
羽田に着いて荷物を受け取り、ターミナルを出たのが13:25、すぐに成田行のバス乗場へ移動して3000円の切符を購入し、13：35発の次の便に乗る。冬晴れの湾岸を気持ちよく走って、成田には14：50に着いた。
チェックインはすぐに済み、ドルに両替してから出国審査場へ向かう。しかし、このわずか数ヶ月で一気に円安が進んでしまったので、1ドルが95円もする。何か大損した気分だ。マスコミは歓迎の論調一色だが、食料も原油もほとんど輸入に頼っている国で、なぜ自国通貨の価値が落ちるのを歓迎するのか？
ユナイテッド航空ヒューストン行、B777-200は満員で、今回は珍しく羽の上をはずれて後方の席になった。周囲はヒューストン乗継でペルーまで行くらしいツアー客が目に付く。
水平飛行に入ってほどなく豚肉を載せたご飯の機内食が出され、食後は映画を見てから寝ようとするが、もとよりエコノミーの狭苦しいシート、しかもガタガタよく揺れたので、ほとんど眠れず。日本時間0時頃ホットドッグとアイスクリームの夜食が、さらに着陸一時間少し前に炊きすぎてフニャフニャのペンネの朝食が配られる。
飛行ルートは大圏コースよりも南寄りで、サンノゼ付近でアメリカ大陸上空に入る。到着一時間半前には今日の目的地エルパソ付近を通過したので、ちょっと損した気持ちがした。やがて現地時間の13:48、定刻通り雲一つない快晴のヒューストン（Houston）、ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港に到着した。インターコンチネンタル、直訳して「大陸間」というやたら大仰な名前だが、思い出せばここはユナイテッドに合併される前のコンチネンタル航空のハブの一つ。空港名に自社の名前をさりげなく組み込む戦略だったのかも知れない。ただし会社自体がもう消え去ってしまったわけだが…。
ここのターミナルビルは真新しく、清潔だ。案内表示は英語の他スペイン語もある。入国審査は長蛇の列ができており、並び始めてから自分の番が回ってくるまで一時間以上もかかって、ほとほと疲れた。しかも、乗ってきた便が一連の到着ラッシュの最後だったようで、自分達の後ろにはほとんど誰も並ばなかったのが余計に腹が立つ。
入国審査が済むと、一旦荷物を受け取って税関を通り、出口手前で再び預ける。それから今度は乗客用の保安検査を受け、関空にもあるような無人の乗物でターミナル間を移動、エルパソ行のゲート前に来た時には16時前になった。アメリカでの乗継ぎには十分すぎる時間を見ておくことが必要だ。
エルパソ行の飛行機は、何と片側一＋二列という狭い機体で、それでもプロペラではなくジェット機、エンブレイヤー154という機種のようだ。だがそれなりに両都市を移動する人はいるみたいで、ほとんど満員。離陸後しばらくして太陽が西へ沈み、次第に夕闇が迫る中、エルパソ（El
Paso）には18：20に着いた。
大阪を出てから24時間、やっと長い移動が終わった。この空港、規模はでかいが全米規模で見ればやっぱり片田舎に過ぎないわけで、もう出発便もほとんどなく、ターミナルビルの飲食店も軒並み閉まっていて宵の口というのにガランとしている。
預入れ荷物を受け取り、さて今日予約しているウィンダム・エアポートホテルがどこかと探したら、駐車場を挟んですぐ向かいに見つかった。空港に近いホテルを予約したのだが、歩いて行ける距離だとは思わなかったので、大助かりである。（アメリカではタクシーに乗るにしてもいちいちチップの計算をするのが面倒なのだ。）
部屋で旅行記を書いているうちに疲れが限界に達したので、入浴する。幸いバスタブがあるので湯を張って、凝り固まった体をほぐし、十分暖まってから頭と体を清める。そして、22時過ぎ、早々に床についた。
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