グランドキャニオン (Grand Canyon)

サウスリムから谷底へ向かうトレイルは二本ある。一つがビレッジから支谷に沿って、インディアンガーデンを経由して降りていくブライトエンジェルトレイル(Bright Angel Trail)。もう一つが東側のヤキポイント付近からシーダーリッジという尾根沿いに進み、中ほどから急斜面を降りるサウスカイバブトレイル(South Kaibab Trail)である。 　いずれも谷底を流れるコロラド川までの距離は約12km、高度差は1300ｍ以上に達し、しかも通常の山登りと逆に疲れている帰路が登りとなるため、体への負担が大きい。よほどの熟練者でない限り、日帰りで谷底へ往復するのは無謀である。 　普通の人が日帰りハイキングを試みる場合、途中で折り返して戻ることになるのだが、その場合、サウスカイバブトレイルの方が尾根沿いなので眺めがよい。 　トレイル入口からスタートすると、初めは低い松の木が群生する中を、積み重なった地層を見ながら歩くことになる。 （2006.5 撮影）

サウスカイバブトレイルの途中、支稜の先端にあるスケルトンポイント(Skeleton Point)。トレイル入口からここまで4.8kmあり、日帰りハイキングの目的地としてちょうどよいところである。 　ここにはトイレや休憩所等の設備は一切なく、ただ広場状に開けた空間があるだけだが、遮るもののない展望は実に素晴らしい。 　前方には複雑に入り組んだ赤黒い岩肌が、無数に積み重なった地層もはっきりと連なり、流れる雲の影がゆっくりと動いていく。 　眼下に視線を転じると、トント台地の平面がテラスのように張り出し、そのさらに下を緑色のコロラド川が流れているのがかすかに見えている。 　ここまでの疲れも吹き飛ぶ絶景であるが、カンカン照りの下では気づかないうちに体力が消耗していき、帰り道は登りで時間も余計にかかるため、残り時間を見て適当な所で切り上げるのがよい。そして言うまでもなく、十分過ぎるほどの水を持っていくことが必須である。 （2006.5撮影）

キャニオンの内部は、下降するにつれ気温が上昇し降水量が減少するため、乾燥した砂漠のような景観になる。 　ただし、乾燥に強いセージブラシと呼ばれるヨモギの仲間やリュウゼツラン等の潅木が意外にたくさん生えている。そのため遠くからはそれらがポツポツと緑の点のように見えている。 （2006.5撮影）

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