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| 南アリゾナ最大の都市トゥーソン(Tucson）の西郊外に、砂漠の白い鳩と形容される美しい教会がぽつんと建っている。このサンゼイビア・デル・バク伝道教会（San
Xavier Del Bac Mission）は、左右両翼の二基の鐘楼と文様や聖人像を配した装飾豊かな正面ファサードが、アメリカの田舎町によくある教会とは随分異なった印象を与えている。むしろラテンアメリカの教会と同じ雰囲気をもっていて、同地を旅したことがある者には懐かしさも感じられることだろう。 それもそのはずで、アメリカ西海岸南部（最終的に北緯42度線がその北限に確定した）はもともとスペインのヌエバ・エスパーニャ副王領に属していた。 首都から遠く離れたカリフォルニアやアリゾナでは白人の入植が進まず、限られた地域にしかスペインの実効統治が及んでいなかったが、先住民へのカトリック布教の拠点として、フランシスコ会等による伝道所の建立が18世紀後半に始まった。 その中で最も有名なのがサンフランシスコ市街地に現存するミッション・ドローレスであるが、南アリゾナのこの地にも1783年から1797年にかけて、東洋でカトリック布教に生涯を捧げた聖ザビエルの名を冠する伝道所が建立された。 その後1821年のメキシコ独立により同国に属し、さらに1854年のガズデン購入（メキシコ側ではラ・メシージャ売却）に伴いこの教会やトゥーソンを含む南アリゾナがアメリカ合衆国の一部となったのである。 完成以降は地震や落雷の被害を受けて度々修理がなされてきたが、メキシコの風を感じさせる歴史的建築として20世紀後半から保護及び修復が本格化した。二基の塔のうち東側の頂上部がまだ失われたままだが、歴史の重みを出すため現状維持されているのか、それとも近々復元されて左右対称が実現するのか。 北緯32度05分56秒 西経111度00分17秒 （2013.2撮影） 撮影ガイド：正面が南向きなので夏期の朝夕を除き順光、引きの取りやすさも合わせ、非常に撮影向きな建築物である。 |
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| サンゼイビア・デル・バク教会の正面ファサード。壮麗な建築を好むカトリック教会の中でも、スペインがメキシコ各地に建立した教会は先住民への視覚効果もあって、内装のみならず外観も豪華絢爛に飾り立てる、ウルトラバロックとも呼ばれる様式が多い。この教会もその系譜を汲むものであるのは確かだが、装飾が薄茶色の単色で玄関周り以外は白壁のままであるため、メキシコ高原各地の教会より随分控えめに感じられる。 （2013.2撮影） |
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