バッドランズ

(Badlands)

　北アメリカ大陸の中央部に広がる大平原の北西、一面の草原の中に複雑に浸食された地層がむき出しの大地が現れる。
　約7500万年前、この一帯は浅い海の底であり、次第に土砂が堆積していった。その後の地殻変動で陸化してからも低い湿地であり、長い間周囲から流れてきた土砂の堆積が続いた。また、その当時のバッドランズは今より温暖湿潤な気候で、亜熱帯の森林が繁茂していた。それが次第に乾燥化していき、サバンナを経て今の草原に変化していったのである。
　こうして形成された堆積岩はまだ完全に固化しておらず、もろくて軟らかい岩は激しい降雨によって浸食され、複雑怪奇な景観を作り出していった。
　また、ここでは土砂の堆積が穏やかに進んだため化石が良好な状態で残り、新世代に棲息していた多種多様な動物の化石が発見されている。北アメリカ大陸ではその後絶滅してしまった馬の祖先など、新生代初期の原始的な哺乳類の化石も多く、その一部は透明なプラスチックケース内で保護され、トレイルを歩くと発見された当時の状態で見ることができる。
　人を寄せ付けないような荒々しい土地は当地の先住民ラコタ族に「悪い土地」という意味の「マコ・シカ」と呼ばれ、白人の到来以後も不毛の地として放置されてきた。そのことが幸いし、かつて北アメリカの三分の一を占めていた自然の草原が今なお残る貴重な場所の一つになっている。それゆえ大昔の化石だけではなく、プレーリードッグやバイソンなど、今を生きる野生動物もこの公園の価値を高めている。

行きやすさ　　★★☆☆☆
感動度　　　　★★★★☆
スケール　　　★★★★☆
ユニークさ　　★★★★☆
写真写り　　　★★★★☆
一口コメント：複雑に浸食された奇岩はもちろん、プレーリーの大草原も日本人にとっては目新しい。