８日目 2003.8.30（土）
帰りのフライトは乗り継ぎが悪く、アテネ発が6時半という早朝便しかない。それに間に合うため、何と3時半という異常な時刻に起きる羽目になる。しかも今は夏時間、実質上2時半である。もっともその時日本では9時半なので、今から日本時間に適応する訓練と思うしかない。
寝ぼけた頭で外に出て、タクシーを拾って真っ暗な高速道路を飛ばして30分で空港へ。運賃は25ユーロであった。今度の飛行機には行きで見なかった日本人ツアー客を見かけた。
ミラノ・マルペンサ空港には予定通り8時前に着陸。しかし次の便までなんと7時間の乗り継ぎ時間がある。その間空港でボケーっと待つのも芸がない。どうせアテネからは国内線同様、何も手続きがいらないのでミラノの街に出てみることにした。
空港駅からはマルペンサエクスプレスという列車が出ているのでそれを利用。オール二階建てのきれいな列車だが、その分9ユーロと高い。
空気は澄み渡って雲一つない素晴らしい好天で、遠くにアルプスも見える。沿線の風景は緑が多くて瑞々しく、ギリシアと大違い。北海道を走っているような感じがする。
40分ほどでミラノ・カドルナ駅に到着すると、まずは中央駅を見に行く。この駅は宮殿のような一つの文化遺産といえる堂々とした石造で、見る者を圧倒する。薄暗いホームに上がると、鈍行から最新のチザルピーノ特急までどれも長編成の列車が停車しており、たくさんの乗降客で混雑している。日本の主要駅とちがうのは、いかにも長距離客といった人がほとんどを占めていることだ。
次に旧市街の大聖堂（ドゥオモ）へ行く。石畳の広場を囲むように重厚なビルが取り囲み、初めて見る西欧らしい街並みはとても洗練されている。その中心たる大聖堂はゴシックの最高傑作といわれるだけあり、白大理石の尖塔が天をつくばかりに伸びていて、垂直に流れるようなデザインは完成された美を感じる。
ギリシアではあまり見なかった日本人も、ここにはたくさんいてイタリアの人気ぶりがわかった。
さて、今日はただのトランジットなのでこれで退散。ミラノはまたいずれじっくり観光したいものだ。カドルナ駅から再度マルペンサエクスプレスで空港に余裕をもって戻り、いよいよ帰国の途についた。離陸して間もなくアルプス南麓の細長い湖たちを見、やがて中欧の田園地帯を見下ろしているうちに夕刻となった。機内では疲れているのにあまり眠れなかった。
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