ミストラ (Mystras)

ミストラでは、一般の建物のほとんどは屋根が崩れ落ち、わずかに石積みの壁がところどころ残るだけの廃墟状態だ。その中で教会だけはほぼ完全な状態に復元され、きれいに赤瓦の屋根も葺かれていてよく目立つ。こういうところからもギリシャ人の信仰の厚さが表れているようだ。教会の建物はどれも中央に小さなドームを乗せた、いかにもギリシャ正教らしいもので、ビザンツ時代の建築様式を今に伝えている。 これはミストラの中で最も上の方、城砦への登り口にあるアギア・ソフィア教会。大小二つのドームと鐘楼がアクセントの美しい教会だが、石をびっしりと積み上げて造られた壁とごく小さい窓を見ていると、侵略に対する防御を第一に考えなければならなかった当時の情勢が思い浮かぶ。 （2003.8撮影）

上の町にあるアギオス・ニコラオス教会。中央の高いドームの周りに円形の壁を持つ外陣を配した構造のため、曲線の多い外観が印象的である。 内部はがらんとして薄暗いが、わりときれいに片付けられていて、よく見るとビザンツ時代のイコンがわずかに残っている。そしてドームの窓から日の光が一本の線となって礼拝堂へと差しこんできて、何ともありがたい気分にさせられる。 ガイドブックなどでの扱いは小さいが、一番のお気に入り。ただし特に傾斜のきつい場所に建っていて、写真には撮りにくいのが惜しい。 （2003.8撮影）

小さいながらも均整の取れたこの教会は、下の町の入場門近くにあるエバンゲリストア教会。中央にドームを戴く十字形をした造りはビザンツ教会の典型的なものである。 石の壁で囲まれ、左側に葬儀用と言われる離れが隣接しているのがこの教会の特徴である。 （2003.8撮影）

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