ハバナ(La Habana)

ハバナ防衛のための要塞としては旧市街の中にあるフエルサ要塞が最初に造られたが、海賊の脅威に直面する情勢下でより実戦に耐えうるものとして、旧市街対岸の海に張り出した台地の先端にモロ要塞（Castillo de los Tres Reyes Magos del Morro）、旧市街側の浜辺にプンタ要塞（Castillo San Salvador de la Punta）の二つの要塞が建設された。この要塞の間には太い鎖を渡して港口を封鎖していたと言われている。 　しかし、七年戦争時の1762年、イギリス軍の攻撃でモロ要塞が陥落してハバナが占領される事態が発生した。それを重く見たスペインは、戦後モロ要塞の南側に大規模なカバーニャ要塞（Fortaleza de San Carlos de la Cabaña）を建設し、1774年に完成したのである。 　当時南北アメリカで二番目の規模を誇ったカバーニャ要塞は、旧市街と運河を隔てた対岸の稜線上にあり、高さは約60ｍに達する。旧市街側から見ると、東西に長く石垣が続き、とても堅固な印象を受ける。一方で要塞からは、旧市街と背後に続く新市街のビル群の展望が素晴らしい。 　 （2012.2 撮影） 撮影ガイド　：　旧市街側からは午後順光となる。反対に要塞から市街方向は朝のうちが順光。

広大なカバーニャ要塞はいくつかの区画に分かれていて、どこも似たようなサンゴのブロックを積み上げて築かれている。初めスペイン、独立後にキューバ軍の基地であった要塞内部はたくさんの小部屋があり、それらの一部は、革命直後ここで指揮を執っていたゲバラに関する資料や植民地時代の武器等の展示室となっている。他にアイスクリーム等の売店に使われているものもある。 　曲がりくねった通路にアーチが架かっている箇所もあって、要塞と言ってもなかなか優美な感じがする。 （2012.2 撮影）

ハバナ名物の古いアメリカ車は、タクシーとして使われているものが多く、何度も修理や改造を受けて元気に走っている。この車もカバーニャ要塞まで乗ってきたもので、当時ハバナのクラシックカーで最も多数派だった、フロントグリルが歯をむいたように大きく、後部の羽があまり派手でないタイプの車である。詳細は不明だが、1950年代前半あたりのものと思われる。　 （2012. 2撮影）

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