メルボルン (Melbourne)

都心から郊外に伸びる近郊電車のターミナル、フリンダーズストリート(Flinders St.)駅。シティの南に位置するこの駅は、1854年にオーストラリア最初の蒸気鉄道が開業した地点である他、1910年建築の壮大なビクトリア様式の駅舎で知られている。黄色と茶色の鮮やかな外壁と屋上のドーム屋根はメルボルンのシンボルとして親しまれてきたとともに、世界で最も美しい駅舎の一つとしてこの街を訪れる観光客が一度は訪れる名所となっている。 　この駅舎で最も特徴的なのは、玄関の半円形アーチの下にずらりと並ぶ時計の文字盤である。これは各方面への次の発車時刻を示すもので、デジタル表示が当たり前となっている中、一つの名物として伝統的なやり方を残している。 　ちなみに、ビクトリア州の鉄道は一部を除き、軌間1600mmの広軌で敷設されている。シドニー方面に向かう路線については、直通列車用に1435mmの標準軌と併用されている。 （2010.3 撮影） 撮影ガイド：駅舎の入口は角地で、北北東を向いている。そのため、昼前が完全順光になる他、朝〜昼過ぎにかけて陽が当たる。

東西に長い長方形をしたシティ、その東を区切るスプリング通りに面したウィンザーホテル。州議事堂と向かい合う場所に建てられたホテルは、1883年創業の伝統を誇り、英王室の名を冠するにふさわしい重厚な建築である。歴史あるホテルらしく、本場イギリス流のアフターヌーンティーもよく知られている。 （2010.3 撮影） 撮影ガイド：東北東向きで午前順光。巨大な建物ゆえ全景撮影は広角レンズ必携。

シティの東端スプリング通り近辺には歴史的建築が多く残っているが、プリンセス劇場はフランス風のとても優雅なもので、一際目立つ存在と言える。1886年に完成した二代目となるこの劇場、ベージュ色の外壁と曲線を多用した二階の窓は気品に満ちている。そして、中央正面と両翼屋上にあるドームの上部に載る鋳鉄製の王冠、中央の大ドーム前に取り付けられた金色に輝く女神と獅子の像など、芸術的な装飾が各処に施されている。見る者をヨーロッパの都市にいるような気分にさせてくれる名建築である。 （2010.3 撮影） 撮影ガイド：東北東向きで午前順光。手前の街路樹のせいで右側が隠れてしまう。

シティの内部は、どちらかと言えば中央部を通るエリザベス通りから東側に歴史的建築が多く見られる。それに、ショッピングセンターや中華街に代表されるレストラン街も東寄りに集まっているので、東部の方が観光客にとって重要度が高い。 　それに対し西部は、西端に中長距離列車やバスが発着するサザンクロス駅がある以外、観光の対象となるものが少ない。それでもいくつか、平凡なビルの間に英国調の古い建物も残っている。 　この写真はシティオブメルボルンビルで、街の名前そのものを冠した大層な名前だが、メルボルン建築協会ビルが実際のところらしい。ゴールドラッシュの資金で次々にビルが建てられていた1888年の建築で、老朽化が目立つが、装飾柱や窓周りの飾りなど風格があり、保存への動きが待たれる。 （2010.3 撮影）

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