スプリット

(Split)

　クロアチアのアドリア海沿岸、ダルマチア地方には、魅力的な旧市街をもつ中小都市が点在している。その中でも、ダルマチア海岸の中央に位置するスプリットは、賑やかな交通の要衝であり、古くて興味深い歴史をもつ街でもある。
　この街は、305年に退位したローマ皇帝ディオクレティアヌスが、出身地であるダルマチア属州の首都サロナ近郊に造らせた宮殿に起源をもつ。その後、スラブ人の侵入によって破壊されたサロナに代わって、強固な城壁をもつ宮殿跡に多数の住民が住みついていった。中世はビザンツ（ローマ）、ベネチア、ハンガリー、クロアチア等の勢力争いの中で都市国家として自治権を有し、15世紀からベネチア、19世紀にはオーストリアの支配下に入り、第一次大戦後ユーゴスラビア領となるなど複雑な歴史を有している。中でもベネチアの影響下でイタリア文化が色濃く残っていて、スパラト(Spalato)というイタリア語名も併せ持っている。
　ユーゴスラビア時代は同国一の海港都市として工業も発展したが、その重要さゆえ、クロアチア独立戦争ではクロアチア勢力と連邦軍の間で戦闘も行われ、一時経済も沈滞した。現在は再び平和が訪れ、多数の観光客が訪れている。
　1979年世界遺産に指定された旧市街は、一辺約200ｍ弱の城壁に囲まれ、宮殿跡の建築物や資材をうまく取り込み、再利用した独特の住居が密集している。そして中央部には神殿跡やロマネスクの大聖堂があり、観光の拠点となっている。そして城壁の外側には、後世に大砲の出現に対応して築かれた星形の要塞跡があり、その内部も旧市街の延長で古い建物が多く見られる。

　ただし残念ながら、今回の旅行ではずっと天気が悪くてろくな写真が撮れず、宮殿の一枚しか載せていません。いつかリベンジしなければ。

規模　　　★★★☆☆
活気　　　★★☆☆☆
居心地　　★★★★☆
見どころ　★★★★☆
交通の便　★★★☆☆
一口コメント：遺跡の建築物がそのまま生きている町の建物になっているのはとても興味深い。