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| 大同市の東郊外にある農場では苗木の育成が行われていて、一定生長したマツの苗木を北の白登山の斜面へ植樹していた。日本のNPOが関与していたこの事業では、安易な外来種頼みではなく、在来の樹種を植えることで華北本来の自然環境を取り戻そうとするものであった。 また、針葉樹のみならずナラの木も育成していたが、厳しい環境下で針葉樹に比べて難しいようであった。 植樹が行われていた山地の尾根に立つと、360度の大パノラマが開けている。南側は大同盆地へ向けて高度を下げる稜線、その向こうにぽつぽつ点在する大同火山群の単成火山と高台に建つ烽火台が目を引き、北へ視線を転ずれば緩やかにうねる山並みが遥か漠北へと続いている。 そしてこの一帯は、庶民から成り上がり、始皇帝死後の混乱を制して皇帝に即位し漢朝を樹立した高祖劉邦（Liu Bang、BC247?-195,在位BC202-195）の軍勢と、冒頓単于（Modu Chanyu、?-BC174,在位BC209-174）率いる騎馬牧畜民族匈奴の軍が戦い、包囲された劉邦が匈奴の弟となって貢納する講和を結んだ「白登山の戦い」（紀元前200年）の戦場となった世界史ゆかりの地でもある。風景の美しさのみならず、こうした歴史ロマンもあっていつまでも佇んでいたくなるような場所であった。 （2009.4撮影、最上段はD） |
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| ここでも植樹により、放棄された段々畑を森林に復す「退耕還林」が行われていた。 当地の降水量は森林が成立する限界に近く、夏降る雨も一気に土壌を洗い流してしまうような豪雨となることも多い。至る所で大地に刻まれた雨裂はその跡である。 こういう悪条件下であるが、それでもいつか荒廃した黄土高原に豊かな植生が戻る日が来ることを信じたい。 （2009.4撮影、D） |
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