和歌山県伊都郡九度山町 昭和３(1928)年６月18日開業 駅舎の向き ： 南南西（夏の朝以外順光） 駅前広場 ： 駅舎と便所の間にわずかなスペースがあるのみ。

南海高野線の高野下以南は、半径100m台の急カーブと50‰の急勾配がひたすら続く、全国有数の山岳路線である。沿線にはわずかな人家しかなく、よくもまあこんな所に鉄道を敷いたものだとあきれると同時に、何が何でも高野山に電車を通すという当時の執念が感じられる区間でもある。 その途中の各駅は急な斜面にへばりつくように造られ、乗降客はきわめて少なく、俗世を離れた静けさが漂っている。いずれの駅にも古い駅舎が残っており、駅ファンにとっては魅力的なのだが、立地上駅前に十分な空間が取れず、駅舎全景の撮影は残念ながら不可能だ。 ただし、当駅だけは妻入りとなっているため、駅舎と便所の間のわずかなスペースから玄関側を撮影できる。上部の黄色い土壁、玄関を覆う大きな庇、それを支える古びた柱などに風格が表れている。 当駅からの西側展望は一見の価値がある。谷間に点在する集落、連なる雄大な山並みなどを眺めていると、電車の待ち時間も退屈しないだろう。

個人的おすすめ度・・・★★★ 　（この駅に訪れるために旅行する値打ちあり） 　2007.10 撮影