和歌山市 明治31(1898)年５月４日開業 平成18(2006)年高架化のため取り壊し

昭和43年までは和歌山を名乗っていた由緒ある駅。 しかし、現在では乗降客も疎らで、和歌山駅時代のままの大きな駅舎は無人化されて荒れ果て、市街地の一角にありながら時代が止まったような寂寥感が漂っていた。 それが線路の高架化に伴い、いつの間にか無残に解体され、利便性の大義のもとにまた一つ立派な建物が地上から消え去ってしまった。 和歌山市によると、踏切解消と下水道整備のため高架化が必要だったとのことだが、敷地に余裕があったので駅舎を残すことは不可能でなかったはずである。 この写真を撮ったのはかなり前で、まだネガしか使っていなかった頃である。いずれポジでもう一度撮りたいと思いつつ、ついつい足が向かないままその願いは実現できなかったのである。 　1998.2 撮影